平成のギャップ女王【ライターが勝手にキャッチコピーを考えてみたvol.2】
( お仕事 ) 2018年 12月 31日 3193 view
気がつけば半年も放置してしまったこのコーナー。
こんな日に投稿して誰か見る人いるんだろうか…
と首を傾げる朝です。
でも、どうしても平成最後の大晦日に上げたかったので!
今回、勝手にキャッチコピーをつけられるのはこの人。
いや、誰かわからん(この時点でわかった人はすごい)
気を取り直して、この人です!
photo by otsuka mini5
山口亜希子さん(以下アッコちゃん)
いま、熊本でもっとも忙しいカメラマンのひとり。
熊本広告クリエイティブ界のラスボス・小山田宗玄氏の奥さん。
愛くるしい5歳の女の子の母親にして保護者会長(らしい)
そして見てのとおり、ちょっといないレベルの美人。
…なんだけど、なんか美人らしからぬポーズじゃないです???
パリピ? のび太? 彼女は万華鏡。
「あぁ、アッコさん! 本当に綺麗な人だよね〜」
某タウン誌の営業Yさん。
「高校時代は分厚い眼鏡かけてて、のび太みたいだったよ」
同じ高校の先輩でライターのMさん。
「俺、アッコさんの写真が熊本でいちばん好き」
同じ業界でしのぎを削るカメラマンS氏。
「飲み会の席で絡まれて1時間ジブリの話を聞いた」
気鋭のデザイナーSちゃん氏。動画も見せられていた。
「若い頃はクラブ狂いで常に飲んだくれてた」
本人談。当時の写真を見ましたが、激しかったです…。
「カラオケでは演歌しか歌わない」
十八番は珍島物語。無駄に上手い。
「友達カップルの屋久島旅行についていった。
お金は彼氏の方に出してもらった」
!?!?!? どういう状況!?
にわかに信じがたいのですが、すべて同じ人の話。
特に最後の方、疑問は尽きませんが
「まぁ、アッコちゃんならアリかな…」
なんて不思議と納得してしまうキャラなんです。
まるで万華鏡かびっくり箱か?
あまりにも多くの顔を持つ彼女。
「デキる美人カメラマン」の顔しか知らずに
ノーガードで飲みに行ったりすると、もれなく
はちゃめちゃなギャップにノックアウトされて
好きになってしまうこと間違いなしです。
女優みたいな美人のくせに、まったく美人ぶらない。
芯から気のいい、豪快なネエチャン。
それがアッコちゃん。
アッコちゃんは猫みたいに登る。
アッコちゃんは、よく高いところに登ります。
脚立は当たり前
テーブルの上
ちょっとした塀の上
まるで猫のようにスルスルと。
「ここ、登っていいですか?」
と聞かれたクライアントが
呆気にとられた一瞬の後
既に高い段上にいる彼女を見上げて
「かっこいいなぁ…」とため息をつくのを
私は見逃しませんでしたよ!
アッコちゃんは緩急自在。
全体的な傾向として
女性カメラマンは仕事が早い
(というか決断が早い?)気がします。
潔くスパッと構図を決めて
あっという間にすごい画を撮っちゃう。
もちろん彼女も例外ではなく
えっ? いつの間に? って感じで
魔法のように撮影が終わることも多々。
かと思えば、何度も何度も
びっくりするくらい、丁寧に
小さなタグの位置にこだわって
撮り直しを重ねていたりもする。
その緩急が絶妙で
いつも見とれてしまうのです。
アッコちゃんの秘密。
愉快で有能で気のいいアッコちゃん。
そんな彼女が、ある日ぽつりと呟きました。
「アッコさんの写真、古くなったね。
そう言われる前に、引退したいんだ。
引退したら、市場の食堂のおばちゃんになる」
この一言に、彼女の写真の秘密が
ぜんぶ、詰まっている気がしました。
ネガティブとポジティブ。
仄暗さと、底抜けの明るさ。
まばゆい光と、そこから生まれる影。
今は、一瞬しかないということ。
ザルのような神経で生きる私の何倍も
何十倍も、何百倍も、何千倍も
彼女は、今の尊さを知っている。
そして、過ぎていく一瞬を
縫い止めるように、焼き付けるように
シャッターを押しているのだと思います。
今だから、今しか、今だけ。
だから私たちは、彼女の写真を見ると
胸を引き絞られるような気持ちになるのでしょう。
流れゆく時間を留める。神様の摂理に抗う。
その相反する行為こそが、美しくて切ない。
そして「今しかない」と覚悟を決めた彼女を
凛と立たせているのだと、思うのです。
平成のギャップ女王よ。
平成という時間はもうすぐ終わるけど
新しく迎えるまっさらな朝の光こそ
あなたにぴったりだと私は思うよ。
新しい元号になったら
また勝手にキャッチコピーをつけるからね。
そしてさ
私は、おばあちゃんになった
アッコちゃんの写真も見てみたいよ。
いつまでも、たくさん
写真を撮ってよ、ね。
photo by Akiko Yamaguchi